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どこにでもあるどこかになる前に。(藤井聡子著/里山社)

富山県にUターンで帰ってきた著者が書いた、何というのだろう、富山に戻る前と戻ってきてからを綴った記録というべきだろうか。

何年か前にはピストン藤井という名前で富山県内の珍スポットを紹介する地元の芸人のような感じで、テレビにも出ておられた。
だが、この本を読むとその姿は本当に彼女が目指していたものではなかったようである。
テレビで見た時にはきちんと見ていたわけではないが、それはそれで面白い視点だったような気がするが、迷いながらの当時の輝きだったようだ。

この本のタイトルを見た時、富山の街作りに対する批判のようなものが書いてあるのだろうか、という気がしたが、それは半分外れて半分当たっていた。

自分が好きな映画という仕事に関わることで充実した時を過ごしていた東京時代、しかし出版不況の波を感じて、著者は「都落ち」することになり、ライター活動を始める。
初めは富山の珍スポットを紹介するような記事を地元のタウン誌に掲載していた。
その中で交友関係も広がって行く。

テレビで見たことがある日本海食堂や、立山登山に行く時に必ず目にする独自のコンビニ「サンダーバード」、街中で女手一人で切り盛りしている「総曲輪ビリヤード」などなど。
それぞれその店を運営している個性的な店主に著者は惚れ込んでいる。
つまらないと思っていた富山で、根を下ろしてそれぞれの居場所を作ろうとしている人達に大きな影響を受ける。

いろんなエピソードが出て来るが、富山市中心部でいろんなイベントの裏方として顔を出しておられた島倉さん、そして自分も何度か行ったことがあるフォルツァ総曲輪のエピソード。
島倉さんは、残念ながら49歳という年で亡くなられている。(私も現在その年だ)

そして、フォルツァ総曲輪。
私がそこで見た映画は「サウダージ」という映画と、佐村河内氏の映画(タイトルは忘れた)。
渋い映画をよくやっていた。
「ヤクザと憲法」も見に行きたかったが、結局タイミングが合わなかった。
富山市の助成金をもらいながら、シネコンでは絶対にやらないような映画をよくやっていた。
富山市も大らかだったと思う。

それが数年前、近くにシネコンができた時に助成金が打ち切られ、存続できなくなった。
しかし、このフォルツァ総曲輪はこの春に復活する。
富山駅路面電車の南北接続が行われるというタイミングでだそうだ。
このタイミングはよくわからないが喜ばしいことだ。
嬉しいニュースである。

そのほか、消えてしまった富山駅前のシネマ食堂街と富劇ビルの話題が出てくる。
まだ昭和の香りが残っていた見た目は薄暗い裏通りである。
今は無味乾燥な新しいビルになり、面影はあまりない。
新幹線が来て確かに駅前の見た目はきれいになった。
だが、いわゆるその土地の味というものはますます消えて行ってしまっている。

まさにどこにでもある地方都市になりつつある富山。
その中で、これから異質な光を放ち続けようとする姿勢に、自分もそうありたいと思う。
言葉で誰かの気持ちを動かしたいという気持ちは、まだ往生際が悪く、あきらめられない。

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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さば

  • Author:さば
  • 40代、男。妻と高校生の息子がいます。
    性格は基本的に後ろ向き。何をするにも尻込みして、やってみたとしてもどんくさい。何かを変えたいと思っていても実は現状肯定主義者で偉そうに語ることもあります。
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